Converge

アメリカはボストン出身のハードコア界の重鎮。カオティック・ハードコアといいうジャンルにくくられてはいるものの、その存在は非常に大きいもので数々のフォロワーを生んだ。2001年発表の「Jane Doe」は多くの人に存在を知らしめた最高傑作として君臨している。2004年発表の「You Fail Me」では原点を思わせるハードコアアタックで蹴散らし、2006年「No Heroes」では再び次元の違いを感じさせたのも印象的だろう。また、05年に行われたEXTREME THE DOJO VOL.11では共演のMastodon、ISISと共に伝説的パフォーマンスを繰り広げている。

レビュー作品

> Axe To Fall > No Heroes > You Fail Me > Jane Doe

■ Axe to Fall
2009


★★★★★
 3年ぶりとなる7作目。怒りを激音に乗せて炸裂させるこやつらの凄さは、音源・ライブの両方で十二分に味わい、脳天をぶっ飛ばされたわけだが、本作でも異常なまでにアドレナリンが分泌される最狂度!!

 激速のリフとドラミングが忙しなく獰猛に暴れ回る幕開けの#1「Dark Horse」から凡百のバンドとはまるで威力が違う。残忍な狂気と猛烈なスピードで感性を焼き払う孤高のハードコア。これは、無慈悲な暴虐性と深淵たる美しさの異形の共存で成り立っているわけだが、地獄絵図でもありドラマティックでもある。その音楽性は相変わらず芸術的な側面も強い。しかしながら以前よりも百花繚乱な変則的展開は抑え目。けれどもメタリックな強度、原点を思わせるストレートな情感を増し、さらなる高みへと到達。この一次元を超越した音の塊、捨て身の覚悟で繰り出す猛烈爆音攻撃を前に、抗うことなどできるはずもなく快楽と興奮にまみれること必至だ。特に前述の#1、扇情的なギターソロが虚空を切り裂く#2「Reap What You Know」、極限状態での絶叫が胸を抉ると同時に凄まじい勢いで突き上げる#3「Axe to Fall」、Cave Inとの合体で全ての感情を髄まで焼き尽くす#4「Effigy」と最強に狂ったテンションで性急に畳み掛けていく頭4曲は、バンドの財産といっても過言ではない傑出の出来栄え。随所にキメまくり、炸裂し、薙ぎ倒す。この蒼白い稲妻が全身を駆け抜ける衝撃は筆舌しがたいぐらいだ。ドゥーミーなリフが脳髄を軋ませると同時に闇の裂け目を映し出す#5からは、シンプルな立ち振る舞いながら激しく体当たりをかます曲、心の内を侵食する毒気の強い曲を使いわけ、知的に仕掛ける。まるで聴き手の負の情感を炙り出していくかのように。そしてまた、それを昇華するかのような、NeurosisのSteveと共に今までの力強さとは裏腹な切なさをむき出しにする#12、その流れのまま絶望という闇にメロウな情感を鈍く灯していく#13という祈祷の洪水。この美しいクライマックスにおける感動と余韻は筆舌しがたいものがある。

 まさに究極に美しい混沌を知る教典。また、聴き手の人生を変えてしまうぐらいの超絶な力を宿している作品でもある。もう聴くたびに魂が震えてしょうがない。

■ No Heroes
2006


★★★★☆
カオティック・ハードコアバンドのコンヴァージの2年ぶりとなる作品。荒れ狂う1曲目で初のコンヴァージ体験をしたわけだが、その瞬間の感想は「なんじゃ!こいつらは!」という驚きが大きかった。ヴォーカルのノイズとも取れる絶叫、歪んだギターリフ、激しく刻むドラム、全てが一体となって襲い掛かってくる、その衝撃・破壊力は他の追随を許さない。雪崩のように進んでいく1〜5曲目(全て約1分)の後に、究極の破滅の美であるタイトルトラック「No Heroes」がお目見えする。爆走&激情の混沌が全てを飲み込む様が展開される。7,8曲目には彼等の“静”の部分が表現されている。さながらただの暴虐なバンドであったらコンヴァージもここまでの人気を獲得するに至っていないだろうと理解できる。静寂から息吹を与え、目覚める混沌も非常に魅力的である。確固たる信念とスタイルを貫いたこの作品、もっと多くの方に聴かれてもいいはずだと自分は思う。この激情はちょっとやそっとじゃ体験できるものではないと思うので。 “全てをなぎ倒す究極のエクストリームミュージック!激重、激速、激高する破壊の創造はもはや誰にも止められない!”

■ You Fail Me
2004


★★★★
ハードコアいや、ロック界に渾然と輝く「Jane Doe」から3年の月日を経て産み落とされた5thアルバム。この間にメンバーチェンジがあったらしく5人編成だったのが4人になったようだ。そのせいなのか、アルバム自体が以前に比べて幾分かシンプルになり、本来のハードコアというジャンルに近しい作品となっている。しかし、それだけで終わってないのがやはりコンヴァージというバンドの持ち味。混沌に満ちた渦を生み出し、灼熱の嵐となって降りかかってくる。ライブで狂喜乱舞している輩が目に浮かぶ。そんな中今作では8曲目にアコースティク曲を入れるなど新たなアプローチも聞かせてくれている。特に好きなのは3曲目の「Black Cloud」。漆黒の爆音が体を支配していく、その様はジャケットの手にココロを鷲掴みされた感覚のよう。タイトルトラック「You Fail Me」は人間の熱を奪っていくかの如く言い知れぬカオスが存在した。またクセになりそうな作品だ。

■ Jane Doe
2001


★★★★☆
ノイジーなギターリフ、変態なリズム、血管ブチ切れ絶叫ヴォーカル、これがコンヴァージ!だと言わんばかりの存在感を焼き付ける彼等の傑作と名高い作品。キレイなんて言葉はもう全く無く、ひたすら渦巻く混沌に聴く者は汚されていく・・・。ただ11曲が終わってからの、タイトルトラックの「Jane Doe」はそれを見事に昇華していく。この曲のために他の曲はあるのかもしれない、そう強く感じた。悲哀な絶叫と感情の塊が襲い掛かる11分間は終焉がとても美しく、澄み切った心をくれたかのように新鮮な気持ちになれた。暴虐・狂乱というだけでなく、彼らは非常に頭がいいと思わされた。全体通すとコンセプチュアルに仕上がっていることもあるのだが、ラストであれだけの事ができるとは半端ナイ。この狂ったサウンドも随分と計算された裏づけがあるからだと思う。とにもかくにもこの作品は彼らをカオティック・ハードコアの筆頭格と位置づけられるほどの評価を獲得し、世界中に名を轟かせた作品である。